2007年7月に逝去された杉浦日向子さんの漫画作品に「百日紅」さるすべり というのがあります。
江戸時代に活躍した天才絵師 葛飾北斎と娘のお栄(葛飾応為 かつしかおうい)の日常を描いたもので江戸の市井の人々の暮らしを交えて、春夏秋冬お話は進みます。
依頼され受けた仕事を制作する今でいうアトリエ兼、自宅は、散らかった長屋で、犬とかも放し飼い状態。
しかもこの親子、性分が似てたようで眠くなったら文机に突っ伏して寝たり作品の傍で横になったりする場面が多く登場します。
北斎もお栄(応為)も掃除とか片付けが嫌いだったとの逸話があり、そこだけ妙な親近感が湧きます。
お栄(応為)は当時超売れっ子だった父、北斎の手伝い(ほぼ代筆ではないだろうか🤔)をしていて、北斎に勝るとも劣らずの腕前でした。
彼女は、女性絵師としても活躍はしていて(もちろん父 北斎の認知度とは次元が違うだろうが)明らかに彼女の作品なのに落款(サイン)を”北斎”と入れていたのは絵の値段が格段に上がる故のこと。(この割り切り方が いい!)
お栄(応為)は
・身なりには特に気を遣わないが髪だけは良く手入れをしていて、銭湯に頻繁に行っていたこと
・火事場見物が大好きで、夜中に火事があったら、すぐ見に行けるように下駄(草履だったかな)を履いて寝ていたこと
・「美人画を描かせたらあいつには敵わない」と北斎に言わしめたこと
杉浦さんの百日紅はそんなお栄(応為)をさりげなく、さっぱりと、そして優しく描いてます。
先日、ふと、リアルに観たくなって葛飾応為としての作品が所蔵されている美術館に足を運んだのですが、常設はされてませんでした(泣)
来年3月まで展示の予定はないということでチョット気が抜けてしまいました。
ただ、学芸員の人に「この絵が見たい」とスマホを見せて尋ねた時、
開口一番
「”おーい”は…」
とまるで家族をことを話しているみたいでそこにグッときました。
来年3月以降か…
担当:莫迦ムズリ